最近ABAをよく勉強されてから来舘されるお母さん方が多いと感じます。
「強化」という表現をするだけで頷かれるお母さんを見る度にABAの普及が進んでいるなぁ、と実感しています。
そのよく使うことばの「強化」なのですが、私たちが子どもさんの行動を分析し、子どもさんとのやり取りの仕方を説明した後、
「じゃあ先生、褒めればいいのですね」
と理解される方がいらっしゃいます。
私たちも、子どもたちの行動を見たあとで、褒めることが一定の影響があると判断すれば、「その通りです」頷く場合もありますし、また説明においても「褒めてあげてください=強化してください」という表現をする場合もあります。
場面によっては「強化=褒める」ということが間違っているという訳ではありません。
ところが、「強化」と「褒める」ということは、似ている様でいて全く違うものなのです。
元々行動分析というものは、動物等を観察する際には、行動の
「頻度(回数)」
「強度(強さ)」
「持続時間」
を見るのが基本となります。
「強化」というものは、大体この3つの行動が「増えること」を言います。
具体的に言うと、
行動の回数が「多くなる」
行動が「強くなる」
行動の「時間が長くなる」
ということが「強化」なのです。
社会的動物である人間は、「褒められる」という承認によって、その対象の行動が多くなったり強くなったり長くなったりするのが普通です。ところがそれは絶対ではありません。
「褒められるという行動が強化になる確率が非常に高い」というだけであって決して「褒められる=強化」ではないのです。
発達障害を持っている人たちは、社会性が無い訳ではないのですが、乏しかったり、定型発達の人たちとは違った形のもので表現していたりする場合があります。
なので「褒めた」としてもその後の「行動」に変化が無かったり、「行動」が下がったりする場合もあります。そうなると「その褒める行動は強化として成り立っていない」ということになるのです。またこれは発達障害を持っている方だけでなく、これは定型発達の方でも十分可能性のあることです。
難しいかもしれませんが、行動分析を理解したい、または実践したいと思われる方は、
「褒める」「貶す」などのラベルを見るのではなく、
相手がどう行動しているか?
相手の反応の後に自分がどう動いているか?
その自分の行動の後に相手はどう反応しているのか?
そしてその「頻度」「強度」「持続時間」は?
と「行動がどう動いているか」(機能・作用しているか)を見てください。
この様に見ることが実際の理解や実践の訓練になるのです。