私たちの相談室に来られてビックリする人もいるかもしれません。
世間で「ABA」と言うと、椅子に座らせて、机の上にある課題学習をし、
飴やチョコレートなどのお菓子を持ち、課題を達成できたら「よくやったね」とお菓子を差し出す…
その様な印象を持っている人が多いだろうと思います。
ところが私たちの相談室では、子どもが行くところは全くの自由。
机はあるけど座らせようともしない。
物を投げようが床を水びたしにしようが、
世間一般が不適応行動だと思う行動を起こしても全く平気。
相談室の外に出ても気にせずそれに付いていくだけ。
(※勿論危険なことは体を張ってでも止めます)
世間のABAを知っている人たちは、それを見て
「何をしているのか?」
「馬鹿にしてるのか!こんなのABAじゃない!」
と思うのかもしれません。
私たちにとってABAというのは、
ABAという一定の療育方法でもなく、
ABAという「パッケージ」でもありません。
あくまでABAとは「応用行動分析」(Applied Behavior Analysis)の略語なのです。
一体どう違うのか?
応用行動分析というは、
B.F.Skinnerという人が鳩やラットの実験から生み出した
「行動分析学」の「応用版」なのです。
ですから、「ABA」というのはあくまで
「行動分析」を人間特有の行動に対して「応用」したものであり、
その範疇で捉えるものとして採用しています。
ですので、ABAをパッケージングでもなく、単なる療育方法という
狭い分野で捉えてはいません。
誰にでも応用の効くものとして、より広く捉えているものですし、
障害を持とうが健常であろうがそれは一緒です。
「応用行動分析」は大きく応用を利かせるものとして
採用しなくてはならないと感じています。
スキナー自身も、自身の行動分析をそう捉えています。
私たちの相談室の話に戻りますが、
遊んでばかりいると捉えられがちかもしれませんが、
実の所、様々な「応用行動分析」が、その遊びには取り入れられているのです。
子ども達は一人ひとり強化子が違います。
けど、私たちの相談室内において、
子ども達に行動分析の「強化」が効いている現象として、
一つだけ、子ども達に共通している行動があります。
それは、1ヵ月ほど相談室を体験した子ども達は
私たちの相談室に来る際に、
必ず「楽しそうに、走って」入ってくることです。
これこそ相談室そのものが子どもたちにとって
「強化子」なのだという証拠なのです。
小野