行動分析や学習理論の中で、
人間や動物が、比較的即座に反応をするのが
「罰」刺激と言われているものです。
行動分析の中での「罰」とは
「自分が起こした行動の後に悪いことが起こる」(正の罰)
「自分が起こした行動の後に良いことが無くなる」(負の罰)
と「行動が減少、もしくは消失する」
ものです。
普通、怒ることや、叱ることなどが、この罰と同じ作用をしています。
(勿論、そうでは無い場合もあります。ここでは便宜上「怒る・叱る=罰」とします)
外界から身を守るために発達したものなのでしょう。
「罰」に関して即座に反応をしなければ、その動物は餓死するか、
もしくはその場で食べられてしまう場合もあります。
ところが、その罰が常態化してくると、その罰に慣れてきます。
これも外界から身を守らなくてはならない習性から来ているのでしょう。
絶えず晒されている罰的な刺激に慣れて行かないと、
他の行動を起こすことも出来ずにビクビクしてばかりでやはり餓死したり、
他のもっと危険な罰的な刺激とを上手く区別しないとこれまた生命の危機があるからです。
怖がっていた罰刺激が、取るに足らない普通の刺激になっていく場合もあります。
「子どもが私の言う事を聞かない」
「躾が出来ない」
というお母さんがいますが、
その様な子どもたちはまさに
「罰がもともと効果があったのだけど、あたりまえになってしまい、罰に慣れてしまっている状態」
の子どもたちが多いのです。
最初は大きな声で
「ちゃんとしなさい!」
と怒ると、その効果は絶大です。
首をすくめて、頭を抑える、泣く様な恐怖反応が出ます。
即座に反応をするので、親側としては、
大きな効果があるものとしてより多く活用していきます。
ところが、あまりに使い過ぎると、その罰刺激に慣れてしまいます。
そうなると親は効果が無くなったとしてより声を荒げる様になる。
……実はこの繰り返しで、最悪果て子どもに手をあげてしまう
「児童虐待」にまで発展する場合があります。
ですから、即時的な効果のある罰制御なのですが、
私たちは出来るだけ(状況によっては絶対に)
しないように勧めています。
では、どうすれば、子どもたちをこちらの意図する方向に向けさせることが出来るのか?
という方法なのですが、それは罰とは正反対の「強化」を使うのです。
小野