子どもはよく嘘を付きます。
大人は大概、嘘を付いた子どもを怒ります。
何故かというと、嘘はいけないことだから。
と教えられているからです。
確かにその通りなのです。
しかし、嘘には「時と場合」があり、例えば、
「お父さんはもう助からないかもしれない」
と言う、癌末期のお父さんに対して子どもは
「そうだね、助からないね」
嘘を付かずに正直に答えるのは、本当に良いことなのでしょうか?
「嘘を付く」というのは、
「相手の顔色を見て」「相手がどういう考えを持つか」を
想像出来なければ(随伴しなければ)、嘘を付くという行動は出て来ません(強化されません)。
これは社会性(般性強化子)を獲得するプロセスと類似、もしくは同等のものなのです。
私たちは、まずは社会性ありきと考えます。
そして、その後に「嘘をつく」というプロセスが存在する。
社会性が底にあり、その上に嘘を付くスキルがくっついているのです。
だから、先の
「お父さんは助からないかもしれない」
と言うお父さんに対して子どもは、癌末期を知っているにも関わらず
「大丈夫だよ、お父さん、きっと治るよ!」
と嘘を付くこと = 優しいことばをかけてあげること(社会性)が出来るのです。
上手く嘘を付くことが出来ない子どもたちが増えていると聞きます。
それは、「嘘=悪」の様な印象があるため、
嘘そのものが悪いとの風潮があるからではないでしょうか?
障害を持つ子どもたちと付き合っていると、
数年越しで付き合っている重度自閉症の子どもたち、
もしくは軽度の発達障害の子どもたちは、
ある程度のセッションを経ると、親御さんたちから
「この子嘘を付いたんですよ!!」
という怒りの話を聞くことが出来ます。
そんなとき私たちは、
親御さんたちに嘘をつくプロセスを説明し、
お母さんに「嘘を付くスキルが付いて良かったね!」と言い、
「ナイスだ!キミは順調に発達している!」
と、嬉しく思うのです。
小野